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2009年5月25日月曜日

決断の時、あなたはどうしますか?「Defining Moments」

ビジネスに身を置くと、大小の差こそあれ、毎日何か決断をしなければなりません。しかし、善しvs.悪しの二者選択なら、迷うことなく「善し」を選べばいい訳ですが、「善し」vs.「善し」の場合は、どうすれば良いのでしょうか?

Joseph L. Badaracco, Jr(ハーバード大学の教授であり、経営倫理学が専門です)の「Defining Moments」では、3人のビジネスマンのケースを引き合いに出して、どのようにその決断の時、その決定的な瞬間を乗り越えるのかを、ニーチェやサルトルなどの哲学者の思想を拠り所にしながら、書き進めています。


アフリカンアメリカンというマイノリティでありながら、頑張ってきた会計士。しかしマイノリティ故に回ってきたビジネスチャンス。自分の価値と会社での立場との間で揺れるビジネスマンのケース。

シングルマザーを部下に抱え、会社として女性にも働きやすい職場をと思っているマネージャー。しかし、実際にはスケジュールが遅れ、残業もできない部下。他の同僚からは、辞めさせて欲しいとの声。間に挟まれながら、決断が迫られるビジネスマンのケース。

妊娠中絶薬を開発したフランスの製薬会社のCEO。中絶手術の危険を回避し、中絶を望む母親にとっては願ってもない新薬。しかし、アメリカの保守的な団体からの不買運動と圧力がかかる中、CEOがした決断のケース。

この3つのケースともに、最終的に行きつくところは、自分の中にある価値とは何だろう?と自問自答を繰り返すということです。著者は普段から「瞑想」をするようにと勧めていますが、自分の経験からくる価値と今現状にある問題とを重ね合わせ、決断の時を迎えようと言っています。

読み物としては、この本はおもしろいと思います。フレームワークやHOW TOに偏ったビジネス本が多い中で、たまにはこうした倫理的な本を読んでみるのも見方が変わっていいとおもいます。ただ、この本の日本語版はすでに絶版となっており、中古でしか手に入らないようです。英語版の原作ですが、短いですし、文字も大きいので、思ったより早く読めますからこちらをそのまま読んでみて下さい。

マネージャーになった時、どのような決定をしていくのか。この本はそんな時のために役に立つ一冊かもしれません。

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