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2009年6月2日火曜日

真のリーダーとは「国をつくるという仕事」

国をつくるという仕事」西水美恵子著は、私が今までに読んだ本の中で、最も素晴らしい本の一冊になると思います。著者の西水さんは元世界銀行の副総裁で、アジアの国に世銀が融資する際に、自ら現地に行って農村でホームステイし、国の貧困の実態と国のリーダーの資質を把握した上で判断されていたそうです。その時の経験が一冊の本になっています。

もともとはTable For Twoについて、学校で先生と話していた時に薦められた本なのですが、出だしを読んだだけでその情景がうかんできて涙が出てきてしまいました。それは「ナディア」の話。

ひとりの病む幼女に出会った。ナディアという名のその子を、看護に疲れきった母親から抱きとったとたん、羽毛のような軽さにどきっとした。緊急手配した医者は間にあわず、ナディアは、私に抱かれたまま、静かに息をひきとった。

ナディアの病気は、下痢からくる脱水症状だった。安全な飲み水の供給と衛生教育さえしっかりしていれば、防げる下痢・・・。糖分と塩分を溶かすだけでの誰でも簡単に作れる飲料水で、応急手当ができる脱水症状・・・。

誰の神様でもいいから、ぶん殴りたかった。天を仰いで、まわりを見回した途端、ナディアを殺した化け物を見た。きらびやかな都会がそこにある。最先端をいく技術と、優秀な才能と、膨大な富が溢れる都会がある。でも私の腕には、命尽きたナディアが眠る。悪統治。民の苦しみなど気にもかけない為政者の仕業と、直観した。

脊髄に火がついたような気がした。

西水さんの原点となる出来事がこのナディアでした。彼女は、ナディアの命を奪う貧困と闘う決意をし、まさにその一心で、現地に赴き、国のリーダーと話をし、貧困の街を歩いたのです。

リーダーシップの考え方の一つに、サーバント・リーダーというのがあるそうです。人に奉仕したいという自然な思いから、指導者になりたいと願う、つまり人に謙虚に仕えるリーダーが必須だというものです。本の中に登場する真のリーダーは、まさに皆このサーバント・リーダーたちばかり。こうしたリーダーたちは去り際も素晴らしい。権力のしがみついてしまうリーダーが多い中、常に異なる意見を良しとし、国民の望まれながらも、敢えてリーダーの場から退く彼、彼女らの想いは、国民一人一人に伝わり、自ら行動する勇気と情熱になっていくのです。

サーバント・リーダーになるために、あなたの原動力・原風景は何ですが?日本の、そして日本の企業のリーダーにぜひ読んでもらいたいです。

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