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2009年9月5日土曜日

ベトナム戦争とは何だったのか。

先月最終レポートを提出した後、家族から薦められた本が「サイゴンの火焔樹」でした。クラスにはベトナム人もいて興味があったこともありますが、確かしに、「ベトナム戦争」といっても、私が思い浮かべることと言えば、
・アメリカが負けた
・社会主義国家となる
・北ベトナムが南ベトナムを制圧
・ボートピープル
といったくらいで、はっきり言うとまるで分かっていない、に等しいものでした。
この本は日本経済新聞の副社長でもあった牧久氏が、サイゴン陥落時期に記者として現地に滞在していた事実を想い起こし、自分の書いた記事を見返しながら、当時では気付かなかった政治の裏側を探りつつ、記者としての自分を再度見つめているものです。

南のベトナム解放軍が、実はベトナムに操られていたこと等、私の全く知らない世界がそこにはありました。隣のカンボジアではポルポト派が反政府的態度の知識人などを残虐しましたが、ベトナムでは形こそ違え、自らボートピープルとして祖国を去るよう政府がし向けたことなど、その政治的ダイナミックな動きに驚き、悲しくなりました。

ただ、「ベトナム戦争」とか「社会主義思想」という言葉で、どうしても政治的・思想的動きばかりに目が言ってしまいがちですが、この本では、残留日本兵としてベトナムに残った人の人生や記者時代にベトナムでお世話になったベトナム人がボートピープルとして祖国を脱出しなければならなかった人生を、著者の憶測も含んではいるものの、詳細に追っています。


そこでは気付くのは、結局は大きな政治や思想の流れに翻弄されて、苦しむ一般の人々の姿なのです。教えられた思想をひたする信じて、貫こうと必死な人。家族を置いてまで、祖国を捨てざるを得なかった人。そうした人々の苦しみの積み重ねで、気付かれた結果が今なのだと思います。

私たちは歴史を学ぶ時、ついダイナミックな動きばかりに話が集中してしまいますが、何も残っていない一人一人の人生にこそ、学ぶべきことが多くあるのだと思います。

著者は、何事も客観的に事実を見ることができてこそ記者だと思って仕事をしてきましたが、それによって近場に居た人に対しても結局は他人事のように接していたのではないかと思うようになり、胸を突かれたようだと述べています。


私も含めて、多くの日本人に読んで欲しい本です。

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